薬と上手に付き合うための基礎知識(21)

〜薬剤師~金子 昌弘〜

骨粗鬆症に係る薬編

高齢化に伴い骨粗鬆症は年々増加すると言われています。椎体(背骨)、橈骨(とうこつと読み手首)、上腕骨(腕のつけね)、大腿骨近位部(足のつけね)などが特に骨折を起こしやすく、骨折により生活の質を大きく損なう可能性があります。

脆弱性骨折として椎体骨折または大腿骨近位部骨折がある場合は、骨粗鬆症と診断します。その他の部位の骨折がすでにある場合で、骨密度がYAM(young adult mean:若年成人平均値)の80%未満を、また脆弱性骨折がない場合には、YAMの70%以下を骨粗鬆症と診断します。また血液や尿の検査で骨代謝マーカーを測定することで、骨代謝の状態が分かるようになり、骨粗鬆症と診断して治療を開始することができます。

骨粗鬆症は骨密度を中心とした考えから、現在では骨強度の低下した骨折リスクの高まった疾患としています。骨強度は骨密度と骨質の二つの要因から決まるので、治療方法は骨質を高めるための薬物療法が中心になります。

骨が弱るのは歳のせいだとあきらめたり、私は骨太だから大丈夫、関節や腰などの痛みがないから関係はないと思っている方は多いと思われます。転倒などにより骨折して寝たきりにならないように、必要な治療を行うことが大切です。

今回は骨粗鬆症に係る薬について、分類と特徴、注意点について紹介したいと思います。

骨粗鬆症と生活習慣の関係

カルシウム不足や運動不足、喫煙や飲酒なども関係していると言われます。女性では閉経による女性ホルモンの減少が最も大きな要因になります。またごく一部の薬剤に限られますが、服用により骨粗鬆症を引き起こす可能性があるものもあります。骨形成(新しい骨を作る働き)と骨吸収(古い骨を壊す働き)のバランスが悪くなることで起こります。

骨粗鬆症治療薬

ビスホスホネート製剤、選択制エストロゲン受容体作動薬(SERM)、抗RANKLモノクローナル抗体、活性型ビタミンD3製剤、カルシトニン製剤、副甲状腺ホルモン製剤など様々な治療薬があります。大別すると骨吸収を抑える骨吸収抑制薬と骨の材料を補う薬、および骨形成を高める骨形成促進薬に分かれます。

薬剤を選択する際には、古い骨を壊す働きの状態を調べる骨吸収マーカー(TRACP-5b、NTX、CTXなど)、および新しい骨を作る働きを調べる骨形成マーカー(P1NP、BAPなど)の測定をすることが大事です。骨代謝マーカーが高い場合は骨吸収抑制薬を、低い場合には骨形成促進薬を使用します。

骨粗鬆症治療薬の分類

骨吸収抑制薬 主な薬物の一般名
ビスホスホネート製剤

アレンドロン酸ナトリウム水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、ミノドロン酸水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物
選択制エストロゲン受容体作動薬

ラロキシフェン塩酸塩、バゼドキシフェン酢酸塩
カルシトニン製剤

エルカトニン、サケカルシトニン
女性ホルモン製剤

エストラジオール、エストリオール
抗RANKLモノクローナル抗体

デノスマブ
骨形成促進薬 主な薬物の一般名
カルシウム製剤

L-アスパラギン酸カルシウム水和物、乳酸カルシウム水和物
活性型ビタミンD3製剤

アルファカルシドール、カルシトリオール、エルデカルシトール
ビタミンK2製剤

メナテトレノン
イプリフラボン製剤

イプリフラボン
副甲状腺ホルモン製剤

テリパラチド酢酸塩、テリパラチド

他院受診時などの前に必ず報告してください

ビスホスホネート製剤は、現在骨粗鬆症治療の第一選択薬ですが、歯科治療で抜歯などの治療を行う場合には、計画的に休薬などを行うことがあります。内科などで骨粗鬆症の予防のために服用していた活性型ビタミンD3製剤やカルシウム剤と、整形外科で骨粗鬆症の治療のために服用する薬が重なってしまうこともあります。メナテトレノンは抗凝固薬のワルファリン(ワーファリン)の効果を著しく低下させるため、特に注意が必要です。

他の診療科の病院を受診する際には、服用している薬を正しく伝えるために、お薬手帳を使用してください。市販の薬を購入する際にも、お薬手帳を忘れないようにしてください。

薬の注意点など、不明な際は薬剤師に確認を

骨粗鬆症の治療は、効果が得られるまでには時間がかかるものです。医師の指示を守り根気よく服用していくことが大切です。

ビスホスホネート製剤は、現在骨粗鬆症治療薬の中心的な薬剤になりますが、薬の吸収を保つために、起床後など空腹時で服用することが必要です。服用後には一定時間は水以外の飲食を避けて、また胃腸障害を予防するために一定時間横にならないようにするなどの制限があります。既往歴などによる病状のために、服用の際の制限を守ることが困難な場合には、注射製剤などで治療することもあるので、医師に相談するようにしてください。

またビスホスホネート製剤は、数年にわたり長期服用しない方がいいのではと質問を受けることがあります。お話を伺うと、自分と同じビスホスホネート製剤を服用している知人の方が、医師から長期服用しているから一時終了すると指示を受けたことを聞いて、自分も同じようにした方がいいのではと思われたようです。

定期的に骨強度を確認して服用を継続するか、一定期間の休薬を行うかは医師が判断しますので、服用の指示をよく守ることが大切です。

安全かつ有効に薬を使用していただくために、薬の使用法で不明な点がありましたら、薬剤師に確認するようにしましょう。。

※参考文献:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版