【質 問】72歳になる父は長い間、咳(せき)をしています。毎朝たんを切るために、大きな咳と咳払いをしてとても苦しそうです。夕方になると多少悪化し、昼間はさほどでもありませんが、たばこを吸うと咳き込みます。本人は年だからと余り気にしていませんが、治るものなら治してあげたいのですが。
【答 え】

咳をして、しわがれ声になり、喀痰がしにくく、時折血を吐く。硬いものが食べれなくなる。ふらつきがあり、目がかすみ、耳鳴りがする。のどが渇き、乾燥し痛む。口や舌が割れて傷になる。汗が出やすく、のぼせて寝汗をかく。ときに便に血が混じり、元気が無くなる。微熱がやまず、腰から下が軟弱になる。小便の出が悪く、勢いもなくなるなどの症状を他に伴うことが多い。

この人は明の時代につくられた、腎を温め水分代謝異常を調整し、活力を益し咳を止める八仙長寿丸(はっせんちょうじゅがん)が良いでしょう。また、咳は長期間に及んでいるので、開豊瓊玉膏(けいぎょくこう)と一緒に服用すると良い結果を生みます。

この漢方薬は宋の時代に登場し、腎を養い若返りをすることで有名で、陰分を補い、肺を潤す働きがある。肺の活力を増し、空咳を治す。好酒を好み長年咳をしている人、息が切れ、体力が落ちてきた人、身体がかさつきやせてきた人には最適の薬である。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。