〜薬剤師 後藤 君代〜

昨年の冬、ヨーグルトを食べるとインフルエンザにかかりにくくなると話題になり特定のヨーグルトが品薄になったことは皆さんの記憶に新しいことと思います。インフルエンザとヨーグルト、どんな関係があるのでしょうか。

ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で発酵した食品です。この乳酸菌がインフルエンザの予防に効果があるということは以前から分かっていました。乳酸菌によって腸内細菌のバランスが良くなると免疫細胞が活性化してインフルエンザにかかりにくくなるのです。

免疫細胞が活性化して予防効果があるのはインフルエンザだけではありません。がんの予防や再発抑制、コレステロール抑制、さらには食物アレルギーや老化の抑制にも効果があることが分かってきています。

腸内には100種類(500種類という説もある)100兆個の細菌が住みついています。この細菌は腸内細菌と言われています。その重量は約1kgあるそうです。腸内細菌には善玉菌と悪玉菌が存在します。

善玉菌:乳酸菌、ビフィズス菌など

腸内環境を整え、消化管吸収を良くしたり、腸管運動を良くし便通を整えたりします。また、免疫力を高め、感染を予防したりします。腸内に入った食物に含まれる栄養分や腸からの分泌物を栄養源として発酵し、同時に様々なビタミン等を産生します。ビタミンB群(B1・B2・B6・B12)、ビオチン、ビタミンK、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、アミノ酸などです。

悪玉菌:大腸菌、ウェルシュ菌など

腸内を異常発酵し腐敗を進めたり(ガスの発生)、発がん物質や毒素のある有害物質を産生したりします。下痢や便秘を引き起こしたり、体の抵抗力を弱めたりします。

では、善玉菌を増やし、腸内環境を整えるにはどうしたら良いでしょうか?ヨーグルトのような乳酸菌を含む食品を摂るだけでは充分とは言えません。

  • バランスの良い食事を摂る。インスタント食品や加工食品は控えめに。
  • 発酵食品(ヨーグルト、納豆、漬物、味噌、チーズなど)のほかにオリゴ糖を含む食品(玉ねぎ、ネギ、キャベツ、ごぼう、ジャガイモ、トウモロコシ、大豆、バナナ、ぶどうなど)を摂る。
  • ストレス、睡眠不足、過労に気をつける。特にストレスは腸内細菌のバランスが崩れ免疫機能に大きく影響します。

以上、述べたように腸内細菌はからだ全体の免疫機能に大きく関わっています。食事や生活習慣に気をつけて、健康な生活を送ってください。

国立感染症研究所“感染症情報センター”一サーベランス-一IDWR一感染症の話
参考資料 日本経済新聞 厚生労働省HP