〜薬剤師 青木 敏朗〜

皆さん、「PM2.5」という単語、ご存じですか?

昨年の春ごろからメディアを賑わしているので一度ならずとも見たり聞いたりがあるのではないかと思います。

当時、スギ花粉がPM2.5とくっついて悪玉花粉となり、花粉症患者さんにとってはダブルパンチとなる、なんて報道がありました。

PM2.5って何なのでしょうか?

PMとは粒子状物質を意味する英語particulate matterの頭文字であり、2.5はその粒子状物質の粒子径を表しています。

つまり大気中に浮遊する微粒子の中で2.5μm以下のものを指します。日本語では微小粒子物質といいます。

粒子径2.5μm、この数値、人間の髪の毛の太さの約1/30なんですね。ここまで小さいと肺の奥まで入り込んでしまうため、呼吸器系や循環器系に悪影響を及ぼす可能性が高く、世界の多くの国で大気汚染の指標とされています。

PM2.5の全国での濃度測定について

さて、一口にPM2.5といっても、これは粒子径による分類、中身は様々です。火山や黄砂などの自然から発生するものや物を燃焼したときに生成される煤、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質がオゾンと化学反応を起こし粒子化した二次生成物質もあります。

人為的な発生源としてはボイラーや焼却炉をもつ工場の排煙、コークス炉、自動車・船舶・航空機の排気ガスなどが挙げられます。

このように様々な成分で構成され、環境条件により組成自体も変動するため、健康に影響を及ぼす濃度水準を明確にすることが疫学的に困難であると考えられています。

このような前提に基づき日本国内における注意喚起のための暫定的な指針は以下のようになっています。

現在、日本においては大気汚染防止法に基づき、地方自治体によって全国700ヵ所以上でPM2.5の常時監視が実施されています。神奈川県では藤沢市役所を含めた56地点でPM2.5の濃度を測定しています。(平成25年12月25日現在)

PM2.5の濃度が高い時の対処法

この暫定的な指針となる値を超えた場合はどうしたらよいのでしょうか?

現段階でははっきりとした健康影響のデータは示されていないものの、原因物質から心臓・循環器、呼吸器への広範囲の健康影響が推測されます。

特に高感受性者(呼吸器や循環器疾患のある方、小児、高齢者等)においては短期間の曝露でも何らかの影響が生じる可能性が否定できません。

こうしたことを踏まえた対応として、前述の指針の中の「行動のめやす」にあるように、高感受性者に該当する方にはPM2.5の値が高い時間帯は屋外活動を控えることをおすすめします。

PM2.5の濃度は屋内の方が屋外に比べ低い傾向にあるため、屋外での長時間の運動や外出を減らしたり、屋内においても換気や窓の開閉を減らして外気の侵入を少なくしたりすることはPM2.5の吸入を減らすことに繋がります。

やむを得ず外出される際には、「N95マスク」や「DS2」、「DS1」等の防塵マスクといった微粒子の捕集効率の高いフィルターを使用しているマスクを使用することでPM2.5の吸入を減らすことができます。

但し、どんなに高性能のマスクを着用しても、顔のサイズに合わないマスクを着用するとマスクと顔の隙間から微粒子が入り込む可能性があり、せっかくの高性能を発揮できません。自分の顔にあった適切なサイズのものを選択し、隙間なく装着することが重要です。

空気清浄機の使用に際しても、PM2.5の除去効果は、機種によって様々ですので、個別の製品の有用性については各々のメーカーに確認する必要があるようです。

発生原因が様々で組成もその時その時で異なるPM2.5。人体に及ぼす影響も未知数ですので、高感受性者に該当する方はもちろんのこと、健常者も日頃の健康管理に努めて、自分だけでなく周りの方々の体調の変化にも留意することが大切ですね。

参考資料 環境庁HP