〜薬剤師 今井 孝浩〜

にきびはごくありふれた皮膚疾患で、一生のうちだれでも経験するが、症状や程度は個人によって異なる。食事、睡眠、ストレスなどの生活面や性ホルモン、脂質など生理的要素が絡むので、重症化させないことが第一である。OTC治療薬の使い分けも重要である。

(1)原因と症状

<原因>
にきびのもとになる皮疹(面皰;白ニキビ・黒ニキビ)には二つの大きな因子が関係している。

◎ 皮脂腺からの脂の分泌が盛んになること(男性ホルモンなどの働きが大きく影響)

◎ 毛穴の出口が硬くなること(異常角化)。異常角化には男性ホルモンや常在するアクネ桿菌等が関係する。

<経過・症状>
毛包に皮脂が詰まり、ニキビ菌が増殖して炎症を起こすと赤い丘疹、膿をもった膿疱、さらに化膿がひどくなった膿腫に悪化、放置すると色素沈着・瘢痕が残る事もある。

◎ 思春期に多くみられるのは、ホルモンの影響が大きいと考えられるもの。

◎ 大人にきびは睡眠不足・ストレス・不規則な生活などが考えられる。

◎ 副腎皮質ステロイド薬の副作用の一つとして、にきびがある(ステロイドざ瘡)。

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◎ 思春期にきび:脂性肌・Tゾーン

◎ 大人ニキビ :乾燥肌・Uゾーン

睡眠不足
睡眠時間も重要であるが、ダメージを受けた肌を修復する時間帯「ゴールデンタイム」すなわち、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンが盛んに分泌されやすい時間帯に熟睡することが重要で、この時間帯には諸説あるが最近では入眠後3~4時間との説が有力。

ステロイドざ瘡
ステロイドによるホルモンバランスの変化が影響しておこると考えられている。ステロイドを塗ったことによってホルモンバランスが変化し、毛穴にある皮脂腺から皮脂の分泌が盛んになる。毛穴の出口が硬くなり、毛穴の中で皮脂をエサにアクネ桿菌が増殖すると、皮膚に炎症がおこる。(ざ瘡ができる)。ステロイドを塗ったから、必ずできるわけではない。

(2)にきびの治療薬

◎角化した皮膚を軟化させ、詰まった皮脂を除くもの。
イオウ:角質軟化・抗菌・皮脂過剰分泌抑制。(副作用/乾燥・炎症)
レゾルシンン:角質溶解・殺菌・掻痒。(副作用/炎症)
サリチル酸:抗菌・角質軟化。(副作用/炎症)

◎角炎症を抑えるもの。
イブプロフェンピコノール:消炎
グリチルレチン酸:消炎

◎アクネ菌の増殖を抑える抗菌・殺菌作用のあるもの。
イソプロピルメチルフェノール:殺菌・抗真菌
クロルヘキシジン塩酸塩:殺菌
スルファジアジン:サルファ剤殺菌。副作用炎症。(副作用/炎症)

◎内服
ビタミンB2:皮膚や粘膜正常に皮脂代謝活発にし皮脂分泌コントロール。
ビタミンB6:脂質代謝ホルモン作用をコントロール。
ビタミンC:コラーゲン生成皮膚粘膜再生メラニン生成抑制色素沈着予防
荊芥連翹湯・清上防風湯:赤みを帯びた思春期にきび桂枝茯苓丸料加慧苡仁:ストレス等で変化するにきび

生活上の注意

  • 一日二回洗顔、乾燥は皮脂の分泌促進させるので脂を取り過ぎない洗顔料を。
  • 保湿。
  • ノンコメドジェニック化粧品選択。
  • 機械的刺激により悪化する事も有、ヘアバンド・帽子・毛先等注意。
  • 十分な睡眠とストレスフリー。
  • ニキビを触ったりつぶさない。
  • 食物制限は特に無く栄養バランスの良い食事を。