〜薬剤師 美濃口 豊〜

子宮頸がんの原因と特徴について

子宮頸がんの原因の一つとして発がん性ヒトパピローマウイルス(以下HPV)が挙げられ、主に性的接触により感染します。HPVの中に発がん性HPVというのがあり、その中でもHPV16、18型が子宮頸がんから6~7割ぐらい見つかるタイプです。子宮頸がんは初期の段階では無症状なことが多く、定期的に検診しないと気づきにくいがんですが、早期発見で治療効果が高まることが判明しています。女性のがんのうち子宮頸がんは乳がんに次いで発症率が高く、特に20~30代で最も発症率が高いといわれています。

子宮頸がんのメカニズム

図:子宮頸がんになるまで

子宮頸がんの新たな予防法

子宮頸がんの従来の予防には、子宮頸がん検診による早期発見が重視されていました。しかし、子宮頸がん検診の受診率が好発年齢の20代で5%、30代で10%程度と低いため、子宮頸がんの予防に新たな予防法が考えられました。それが、子宮頸がんを予防するワクチンの登場です。これは子宮頸がんの発症メカニズムにHPVというウイルスが関与していると判明したため、「ワクチンを新たに開発すれば予防できるのでは?」という考えが普及したためです。そして、2009年10月にグラクソ・スミスクライン社が開発した「サーバリックス」が承認されました。また、米メルク社の子会社の万有製薬が申請中の「ガーダシル」が待たれます。

サーバリックスの機序

サーバリックスは子宮頸がんの発症リスクの高いヒトパピローマウイルスを抗原としたワクチンで、免疫を高める物質であるAS04を使用し、免疫を増強して、少なくとも6.4年にわたり自然感染時と比べて11倍以上の高い抗体価を維持し、HPV16、18による感染を防ぎます。サーバリックスは10歳以上の女性に接種することができ、最初の接種、最初の接種から1ヶ月後、6ヵ月後の3回にわたり接種します。サーバリックスは3回接種することで十分な抗体価が得られます。少なくとも高い抗体価が20年間維持されることが推測されました。

子宮頸がんワクチンの問題点

サーバリックスのようなワクチンは女性にとって非常に画期的な情報であると同時に、問題点も多く残されています。まず、ワクチンの接種対象年齢で、推奨される年齢が11~14歳の女子とされ、思春期の女性がきちんと自分の健康や子宮頸がんの予防の必要性をきちんと理解できるかということ、また接種が3回なので費用の自己負担額が少なくとも3万円以上と高額であるということが挙げられます。女児の意識改善に対する取り組みは、子宮頸がんのセミナーを開催し親と子供を交えて子宮頸がんの予防の重要性を説明することで母親の意識を改善するだけでなく、親から子供にも子宮頸がんの予防に対する意識づけを狙うことで改善していこうというものです。費用面については海外では全額公費負担や補助がなされているので、日本でもそのような制度の早急な導入が考えられます。

まとめ

子宮頸がん予防ワクチンは感染を予防することに主眼を置いているので、発症している病変の進行を遅らせ、ウイルスを排除するためのものではないので、従来と同じく定期検診による早期発見が重要で、ワクチンの効果を見るためにも検診は非常に有効です。子宮頸がん検診の受診率が好発年齢の20代で5%、30代で10%程度と低いので、引き続き検診の受診を積極的に受けるように啓発していく必要があります。

○参照ホームページ

厚生労働省HP

毎日新聞

グラクソ・スミスクラインHP  すべての女性に知ってほしい子宮頸がん情報サイト