〜薬剤師 美濃口 豊〜

ポリオはウイルスの感染で手足の麻痺が出る病気で、かつて日本でも流行しましたが、予防接種の徹底で1981年以降、国内のポリオの自然感染による麻痺は1例もないです。自然感染の場合、感染しても90~95%は発熱せず、残りは発熱や頭痛、嘔吐など風邪の様な症状が出たり、無菌性髄膜炎が起きたりします。手足の麻痺などが出るのは1%弱とされています。

一般的にポリオワクチンは、毒性の弱い病原体を原料にした「生ワクチン」と、死滅した病原体やその一部を使う「不活性化ワクチン」があります。

生ワクチンは、ワクチンに含まれるウイルスに感染して、まれに接種後に麻痺がおきたり、周囲の人に感染したりすることがあります。日本では、2000年度以降で、14人の麻痺が国から認定されています。

一方不活性化ワクチンは自費で1回4500円~1万3000円程度かかり、医師が国から証明書を得て輸入するが、万一、副作用が出ても国の補償はありません。一般的な注射によるワクチンと同様に接種した部分の腫れや痛み、急性のアレルギー反応などが起こり得ます。

日本でも、10年以上前から不活性化ワクチンの必要性が指摘されてきましたが、開発が送れ、現在も治験中です。こうした中、親の不安に応えて、ポリオの不活性化ワクチンを独自輸入して接種する医療機関があります。

インドなど流行がなくなっていない国も一部あるため、予防接種は必ず受けてください。

生ワクチンと不活性化ワクチンの違いについて

生ワクチン不活性化ワクチン
精製方法毒性の弱いポリオウイルス精製死滅したポリオウイルス精製
接種方法飲ませる注射する(太ももまたは腕)
接種回数2回接種(3ヶ月~7歳半未満)4回接種
利点無料、副作用救済基金保障あり発症なし、周囲に感染しない
問題点発症することあり、感染あり日本では未承認、保障なし

ポリオ不活性化ワクチンを扱う医療機関については、こちらを閲覧ください。

「ポリオの会」のホームページ

参照 読売新聞 厚生労働省HP