〜薬剤師 美濃口 豊〜

流行について

世界中で見られる感染症です。春先から夏にかけてよく流行します。以前は5年おきに、こどもを中心に風疹が大流行していましたが、最近は思春期や大人がかかる割合が増えてきました。

病気について

風疹はウイルスの飛沫の感染によっておこる病気です。

潜伏期は、2~3週間です。症状はしばしば穏やかで、風疹ウイルスに感染した人の内、約半分は、これといった症状がでません。こどもでは、通常、淡いピンク発疹が、最初のはっきりした症状です。風疹ウイルスが侵入してから通常2週間後に淡いピンク斑状丘疹が出現します。年長児や大人では、この淡いピンク発疹の前に、軽い発熱・気分不快・眼球結膜・上気道炎・リンパ節腫脹といった症状が、1~5日前から出現する場合があります。淡いピンク発疹は、顔に最初に出現し、体や手足へと広がっていき、かゆみを伴うこともあります。淡いピンク発疹は、24時間で出そろいますが3日間ほど見られて消えるため、風疹のことを3日はしかということがあります。

リンパ節腫脹は、発疹が出現する1週間前から始まり、数週間持続します。耳や頭の後ろ、首のリンパ節が、通常、腫れて痛みますが、大人ではめだたない場合もあります。

合併症として、関節痛・関節炎は、大人の女性の7割で見られますが、大人の男性やこどもでは、まれです。関節痛・関節炎の症状は、淡いピンク発疹出現と同時か、やや遅れて出現し、1か月も続くこともあります。

合併症として、脳炎は、風疹6000例に1例の確率で起こり、大人の女性で起こりやすいです。血小板減少性紫斑病による出血が風疹3000例に1例の確率で起こり、こどもで起こりやすいです。

母親が妊娠3か月以内に風疹に感染した場合には、他の障害も合併している場合が多いです。先天性風疹症候群(CRS)としては、白内障、緑内障、心臓奇形、聴力障害、精神運動達面遅延等があります。

予防について

風疹にかかった人は、職場や学校を休んで、外出を控えなければなりません。学校保健法での登校基準は、「紅斑性の発疹が消失するまで出席停止とする。なお、まれに色素沈着することがあるが出席停止の必要はない。」となっています。

風疹にはワクチンがあります。2~3歳になると、急にかかる人が増えますので、3歳までに接種しましょう。かかりつけ医に相談しましょう。

風疹のワクチンは、生ワクチンで、接種を受けた人の鼻・咽頭部の粘液からは、ワクチンのウイルスが検出されます。それにもかかわらず、接種を受けた人以外の人にはワクチンのウイルスは感染しないとされています。

風疹ウイルスに罹ったり、ほかの人にうつさないためにも、普段から、自分の鼻や口に触れる前後には、よく手を洗うことが大切です。

参考文献:横浜市衛生研究所HP 厚生労働省HP