〜薬剤師 美濃口 豊〜

ロタウイルス胃腸炎は、ほとんどの子供が5才までに1度はかかる胃腸炎です。

日本においては毎年120万人が発症(6歳未満は80万人)し、そのうち8万人近くが入院しています。

流行期

毎年、冬から春にかけて流行が見られます。

症状

この胃腸炎は乳幼児にかかりやすく、感染から2日前後で発症します。生後3ヶ月から2才までが重症化しやすく、白っぽい水のような下痢(独特の酸っぱい臭いがする)や噴水のような嘔吐、などを繰り返し、脱水症状を起こします。また、痙攣や意識障害や発熱が見られる場合もあります。

感染経路

ロタウイルスは、感染力が強く、主に糞口経路で感染します。また、石鹸や消毒用アルコールにも強いため、哺乳瓶用の消毒液などの塩素系漂白剤で、しっかり消毒しなければ死滅しません。

治療法

効く抗ウイルス薬はなく、水分補給などの対症療法が中心です。

予防ワクチン

世界的にワクチンの効果は確認され、whoは平成21年、各国に接種を推奨しました。厚労省は、平成23年7月にグラクソ・スミスクラインのロタウイルスワクチン「ロタリックス」を承認したので11月には接種できる予定です。また、MSDの「ロタテック」も発売予定です。

ロタリックスとは

生きたウイルスの病原性を弱めて作ったワクチンで、世界では120ヶ国以上で承認・発売され、1回1.5mlの液体を口から飲みます。

初回は生後6週間以降にのみ、4週間以上開けて24週までに2回目を受けます。この時期に限って、使用が承認されています。しかし、この時期に接種するワクチンは、複数あり、医師が必要と認めた場合は、同時に接種することがあります。

  1. 他の生ワクチン接種を受けた場合、通常27日(4週間)以上あける必要があります。
  2. 他の不活性化ワクチン接種を受けた場合は、通常6日(1週間)以上開ける必要があります。

また、接種にかかる費用は1回1万円前後かかる見込みで、国の補助が望まれます。

主な副反応は、易刺激性(むずむず感)、下痢、鼻漏、咳などでした。

参考文献:横浜市衛生研究所HP 厚生労働省HP