【質 問】私は52歳になる女性ですが、最近首筋が凝り、体調が悪く、疲れやすい、血圧を測ってみると高いと言われました。血圧を下げるためにどのような漢方薬があるでしょうか。
【答 え】

今回は「心」由来で血圧が高くなる方を中心に述べます。心は精神思惟活動を支配するといわれ、心神が不安定な状態になると血圧が高くなり、動悸・不眠・精神不安などの症状を現わす。

いつもイライラして怒りっぽく、落ち着きがない。音や光、何かの刺激で驚き、動悸が始まる。夜もあまり眠れず、良く夢を見て、うわごとを言う。肋骨(ろっこつ)の下が張って苦しい。頭痛・頭重、のぼせ・めまいや耳鳴りなどを伴うことがあり、足は軽く雲の上を歩いているようだと訴える方もいる。食が細く、疲れやすい。小便の量が少なく便秘気味の方は「柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」がよいでしょう。

のぼせて顔が赤く焼けるように熱くなり、冷やすと気持ちがよい。鼻血などを伴い胸中が熱く、落ち着かずイライラして動悸し眠れない。短気だが、すぐにさめやすい。いつも騒がしく、よく笑い、感情の起伏が大きく躁状態を呈する。甚だしい場合は、幻覚や被害妄想を現わす。胃中に熱があるので便秘である。この方には心火を瀉(しゃ)す「三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)」がよいでしょう。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。