【質 問】55歳、男性から質問があったのは3月末のことである。「3日前の朝、歯磨きをしているとき、突然腰に重だるさを感じ、痛み出してきました。その日は湿布をはり、会社を休んで様子を見ましたが、痛みは徐々に強くなっています。漢方で治るでしょうか」
【答 え】

腰痛になると、普通考えることは整形外科に行くか、接骨院へ行くか、針へ行くかであろう。実際に当店でもいろいろ試してから来店される人が多く、ほとんどは数カ月から一年くらいたっているため、病体が慢性化してしまっている。

この人のように、突然重だるさを伴う痛みが発症する腰痛は、自然界の湿気と冷えが関与している病症で「寒湿の邪」と呼んでいる。

湿邪が関与しているものは患部に停滞しやすく、ハリへ行ってもなかなか消えない。身体に必要のないものが経絡に入り込んだものは、マッサージをすると悪化する。腰椎のレントゲンを撮って安心感を得ることは大切だが、鎮痛剤は効いてくれない。湿布をするとそこに汗をかき、さらに湿気を呼んでしまうので楽にはなるが良くならない。

寒湿の邪を追い出す代表的な処方に「甘草乾姜茯苓白朮湯・かんぞうかんきょうぶくりょうびゃくじゅつとう」がある。別名「腎着湯・じんちゃくとう」とも呼ばれる。この人は翌日から出社した。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。