センナは日本の伝承生薬ではないが、早くから輸入され、国民に良く知られている。センナは緩下剤として、ヨーロッパでは古くから薬用として用いられている。日本薬局方にも収載されており、薬局では葉を乾燥したもの、あるいは粉末の形態でおかれている。現在では錠剤やエキス剤も製造・販売されている。その使用量は相当な量であると思われる。

最近は繊維質の少ない軟らかい食べ物の多い食生活のためか、若い女性の便秘症が多い。また老人・子供の便秘症も増えているようである。近年、軽度の便秘にセンナの実の粉末も使われている。生薬製剤では、センナの実と葉の混合製剤もできている。

中国ではセンナを「番葉」と書く。日本の市場に出ているものは、その大分部がチンベリー・センナであるが、別にアレキサンドリア・センナがある。チンベリー・センナはアラビアからインドにかけて分布している。アレキサンドリア・センナは、アフリカのナイル川中流域に産する。

センナは一般的に良く知られた緩下剤である。総合的にはセンナは大黄に比べて清熱、消炎、抗菌作用が弱く、腹部の実熱炎症に用いることは少ない。一過性の緩下剤としては大黄より優れる。性は寒であるが、これまで支障をきたしたことはない。ただし使用量をどんどん増量しなければならなかったり、あるいは粉末で3g以上も用いなければならない場合は中止した方がよいでしょう。お客様の反応で感じたことは、粉末においても長期間保存したものは効果が減じていることが多いようで、あまり多く買い求めて使用すると、徐々に効かなくなるという。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。