〜薬剤師~金子 昌弘 大島 崇弘〜

お薬は病気を治すため、また症状を緩和させるためにとても大事なものです。お薬を有効に使用していただくためには、医師の指示を守ることは言うまでもありません。しかしながら限られた診察時間で聞けなかったことや、お薬に関することなどは薬剤師に相談していただければと思います。今回から「お薬と上手に付き合うための基礎知識」と題して、お薬に関する情報をお知らせいたします。お薬のことがよくわからない方も、よくご存知の方も確認のためご参考にしていただければと思います。

今回はお薬の服用方法をお話させていただきます。

服用方法について
 すべて同じ服用方法ならば楽なのに、どうしてお薬によっていろいろ服用時間があるのはなぜだろう?と思われた方は多いのではないかと思います。大部分のお薬は服用した後、吸収され代謝された後に排泄されます。体の中で作用している時間はお薬により様々なため、服用回数が分かれてしまうのです。また使用目的、吸収上の問題、副作用の予防などにより食後、食前、食間、就寝前などの服用方法が決められています。
食後:食事の直後から30分くらいの間の服用です。飲み忘れを防ぐためのひとつの方法でもあり、ほとんどの薬の服用法が該当します。食物が胃に残っているためお薬が直接胃の粘膜に触れることが少ないので解熱鎮痛剤など胃腸障害の注意が必要なお薬や、空腹時と比べて吸収量の違いがある油に溶けやすい薬剤などのお薬を服用するときの方法です。
食前:食事を摂る20~30分前に服用します。お薬が胃の中の食物の影響を受けて吸収が悪くなったり、吐き気止めなど、お薬の効き目が現れることで食事を食べやすくするための薬剤を服用するときの方法です。
食間:食事と食事の間、食後2時間後が一般的です。よく食事を食べている間と勘違いされることがありますので注意ください。(食事を食べている最中の場合は食中や食事中になります)食事によりお薬の吸収に影響がある場合の服用方法です。
就寝前:寝る30分くらい前に服用します。睡眠薬や眠気のでやすいお薬、下剤などのお薬を服用するときの方法です。ただし一部の睡眠薬では、効果が短時間で現れるものもあります。その場合は寝る直前に服用します。
頓服:症状がある場合、必要に応じて服用する方法です。必要なときに服用していいのですが、解熱鎮痛剤などを服用するときはなるべく空腹での服用を避けて使用するものもあります。また使用間隔はお薬により異なりますので医師・薬剤師に確認しておくことが大事です。

食事を摂らないときはどうすればいいの?
 お薬は服用しないと医師の期待する効果が得られないため服用することが大切です。血糖値を下げるお薬や、胃粘膜に負担をかけるお薬、吸収が極めて低下するお薬などを除いて、たいていのお薬は服用して大丈夫と思われます。あらかじめ食事を摂らない場合の服用法を薬剤師に相談しておくようにしてください。
 また服用方法を決めるときには、一般的に食事の回数が3回(朝・昼・夕)で4~5時間は間隔があいていることを想定しています。食事回数の少ない方、食事の間隔が不規則な方は医師・薬剤師に相談するようにしてください。

お薬を服用するときはコップ1杯のお水か白湯で!
 お薬は水か白湯と一緒に服用するのが基本です。水なしで服用すると、お薬が食道に付着してその部分に炎症を起こしてしまうことがあります。また胃の中でお薬が速やかに溶けて、吸収を早めるためにも水分が必要になります。
 外食したのでお茶しかない場合はどうしたらよいのかとよく聞きます。服用上の注意で、お水以外は避けるようにと注意を受けていなければ、たいていのお薬はお茶で服用しても大丈夫と思われます。外食の多い方は薬剤師にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。