〜薬剤師~金子 昌弘 大島 崇弘〜

うがい薬編

風邪の流行の時期になりました。風邪の予防のためや、風邪をひかれて病院でうがい薬を処方され使用している方も多いのではないでしょうか。うがい薬は何度も使ったことがあると思いますが、その「うがい」の仕方が大切です。お薬を有効に安全に使用していただくために今回は「うがい薬の使い方」を紹介したいと思います。

うがい薬とは   のどや口腔内の炎症を抑え、抜歯後の傷口の洗浄・消毒、また感染予防等を目的とした薬です。大別すると殺菌消毒を目的としたものと消炎鎮痛を目的としたものがあります。
殺菌消毒用 ポビドンヨード、セチルピリジニウム塩化物
ベンゼトニウム塩化物など
消炎鎮痛用 アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸ジカリウムなど
 ポビドンヨードはイソジン®ガーグルの主成分で、ウイルスや細菌に接触することで殺菌する作用があります。アズレンスルホン酸ナトリウムを含んだアズノール®やハチアズレ®は炎症を抑えて傷ついた咽喉の粘膜を修復する効果があります。
 細菌やウイルスの感染予防や治療には殺菌消毒用、のどの痛みや口内炎などの炎症には消炎鎮痛用が使用されます。
うがい方法
 ポイントは決められた量のうがい薬を、決められた量の水で溶かしたり希釈した液を、3回に分けてうがいすることです。1回あたり20ml程度を使用します。口いっぱいにうがい薬を含むと上手くうがいができません。
咽頭炎など、のどの炎症の場合
 うがい薬を3回に分けて使用します。

・ 1度目のうがいで食べかすや、口の中の有機物をとる目的で口に含んで比較的強くうがいします。

・ 2度目は天井が見えるくらい上を向き、のどの奥まで液が届くようにして15秒程度うがいします。

・ 3度目も2度目と同様に、うがい薬がのどに十分に届くように15秒程度うがいします。

 殺菌消毒を目的としたうがい薬は、口腔内の汚れや痰などの有機物があると効果が弱まってしまうので1度目のうがいを行います。もし水で事前にうがいができれば、うがい薬で仕上げうがいをする要領で行うとより効果的です。
抜歯後の消毒や口内炎など口腔内に炎症がある場合
 うがい薬を口に含み、ほほを左右前後に膨らませてうがいします。殺菌目的の場合は咽頭炎と同様に口の中の有機物をとることが必要です。歯の間の汚れを洗い出すように口全体にうがい薬を行きわたらせることが必要です。これを数回繰り返します。ただし抜歯後や口腔の傷で使用する場合には血餅(かさぶた)の形成が阻害されるので激しいうがいは避けるようにしてください。
 殺菌消毒剤のポビドンヨードなどによるうがいをした後に、後味が気になる場合は水で口腔をゆすいでも殺菌消毒への効果には影響がないと考えられます。アズレンスルホン酸ナトリウムなどの粘膜修復を目的とするうがい薬の場合は、粘膜表面にしばらく薬を付着させておいたほうが効果が高まると思われます。

うがい薬は説明書を確認して正しく使用しましょう
 うがい薬を使用するときに説明書を確認して使用していますか?コップに2~3滴入れて、お水をコップ一杯まで入れてうがいするイメージはないでしょうか?また口に含んで「ガラガラペッ」で終わらせていないでしょうか?
 ポビドンヨードなど殺菌消毒を目的としたうがい薬の場合、細菌に対して効果を得るためには、「薬剤の濃度」と「薬剤と細菌との接触時間」が重要になります。薄めすぎての使用や、あまりの短時間(数秒)では効果が得られない可能性があります。決められた濃度で15秒×2回=30秒程度の接触時間で殺菌消毒の効果が高まります。
 ただし決められた量よりもより濃くしたり、より長時間うがいすることは決してしないでください。口腔の粘膜障害などの副作用を起こす危険性があります。
普段からのうがいはしたほうがいいの?何を使用すればいいの?
 くしゃみや咳で空中に飛び散ったウイルスを吸い込んで感染する飛沫感染を防ぐために、ウイルスが咽頭の細胞内に入り込んでしまう前に洗い流すことは大切です。
 病気による感染対策を医師から指導されていなければ、帰宅した後や掃除の後など、日常生活の中では水によるうがいでいいでしょう。風邪が流行っているときや、風邪をひいているとき、のどが痛いときは、うがい薬を使用することでより高いうがい効果が得られます。
もし2種類のうがい薬を使用する場合には
 もし症状が強く2種類のうがい薬を使用する場合には、間隔を十分開けて使用すればどちらが先でも構いません。もし同時に使用する場合には、先に殺菌消毒用のうがいを行い、後から粘膜修復を目的としたうがいを行うようにしてください。殺菌消毒剤はうがいした時点で効果が得られますが、粘膜修復剤はしばらく口腔粘膜に付着させておいた方がより有効と思われるためです。

薬の使用方法がわからないときは薬剤師に確認を
 うがい薬には大きく分けて2種類に分けられ、症状や使用する場所によって使い方も異なる場合があります。そのため以前処方された薬や、購入した薬の残りを使用することは注意が必要なこともあります。安全に薬を使用していただくために、薬の使用方法て不明なことがありましたら、まず薬剤師に確認して適切に使用するようにしましょう。

参考文献 明治製菓HP