〜薬剤師~金子 昌弘〜

鎮咳薬・去痰薬編

咳嗽(咳)は気道の粘膜に異物が入り込むと痰が溜まり、痰とともに異物を排除するための、生体にとって大切な防御反応です。しかし異物を排泄させるためには勢いよく出すことが必要となり、咳が出る際の流速は秒速100mにも及ぶと言われています。

また飛沫物は2m程度に達するので、咳をすることは体力を激しく消耗することになります。また咳が続くと咽頭痛や睡眠に支障を起こすこともあるので鎮咳剤や去痰薬を使用します。

今回は鎮咳剤・去痰薬についての分類と特徴、注意点について紹介したいと思います。

中枢性鎮咳薬

延髄の咳中枢の興奮を低下させて咳を鎮めます。咳を鎮めることで痰の排泄を抑制することがあり、乾性咳嗽に対して使用します。痰を伴う湿性咳嗽に対しては去痰薬を併用して使用します。

去痰薬

大きく分けると痰の粘度の低下、粘液成分の正常化、粘膜の表面を覆う繊毛の働きを高めて痰の排除を促進するタイプと、痰の主成分であるムチンを分泌する胚細胞の過形成を抑えて痰の産生を抑えるタイプに分けられます。

中枢性鎮咳薬

鎮咳薬 主な一般名(商品名)
中枢性鎮咳薬 チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン)、デキストロメトルファン(メジコン)、ジメモルファンリン酸塩(アストミン)、クロペラスチン(フスタゾール)、ベンプロペリンリン酸塩(フラベリック)、コデインリン酸塩(コデインリン酸塩散・リン酸コデイン錠)、ジヒドロコデインリン酸塩(フスコデ配合錠、カフコデN配合錠など)

中枢性鎮咳薬

去痰薬 主な一般名(商品名)
喀痰排泄促進薬 カルボシステイン(ムコダイン)、アンブロキソール(ムコソルバン、ムコサール)、ブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボン)
喀痰産生抑制薬 フドシステイン(クリアナール、スペリア)

他院受診時などの前に必ず報告してください。

去痰薬は慢性副鼻腔炎の時に溜まった鼻汁を排泄させる目的で使用することがあり、複数の病院で重複する可能性があります。

鎮咳薬の使用で便秘を起こすことがあります。フスコデ配合錠、カフコデN配合錠などの配合錠では、抗ヒスタミン薬を含有しているため、前立腺肥大で治療をしている場合には注意が必要です。デキストロメトルファン(メジコン)はモノアミン酸化酵素(MOA)阻害薬との使用は禁忌になります。またコデインリン酸塩(コデインリン酸塩散・リン酸コデイン錠)、ジヒドロコデインリン酸塩(フスコデ配合錠、カフコデN配合錠など)は便秘や麻痺性イレウス(腸閉塞)、使用量により呼吸抑制の副作用報告があるため注意が必要です。

そのため飲み合わせを確認していくことが重要です。服用している薬を正しく伝えるためにお薬手帳を使用していくことが大切です。

薬の注意点など、不明な際は薬剤師に確認を

吸入薬をもらったが、インフルエンザの検査を鼻腔で行ったので、口から吸わないで鼻から吸うものだと思っていた患者さんがいます。抗インフルエンザ薬は医師の指示を守り適切に使用することが大切です。インフルエンザウイルスは増殖が非常に速く、ウイルス1個が24時間で約100万個になるといわれています。適切に速やかな使用をすることが必要です。単回使用の薬剤は速やかに使用するようにしてください。1日2回使用するオセルタミビルおよびザナミビルも初回の使用は速やかに使用して、2回目以降は規則的に使用します。

鎮咳薬は基本的には乾性咳嗽の場合には単独で使用しますが、痰を伴う湿性咳嗽では去痰薬と併用して使用します。以前もらった咳止めが残っているから、咳が出たので使用していいかと思うことがあるかもしれません。痰が絡んでいるのに乾性咳嗽時の薬を使用すると、痰の排泄を悪化させることになるので、咳止めだからと自己判断をして使用しないようにしてください。

安全に薬を使用するために、薬の使用法で不明な点がありましたら、薬剤師に確認して適切に使用するようにしましょう。