〜薬剤師~金子 昌弘〜

病院を受診するとき、薬局に行くときに伝えて欲しいこと編

病院を受診すると、まず問診票などに症状や服用している薬を記載して医師に報告を行います。医師は診察時に問診票やお薬手帳、場合によっては紹介状などから今使用している薬剤を確認して、治療のための薬を決めていきます。

薬局でも現在服用している薬と今回処方された薬の飲み合わせの確認、他の病院で治療をしている病気に対して影響を与えない薬剤かの確認を行います。

薬を安全に使用するために、病状や使用している薬について新しい情報を伝えていくことが大切です。今回は病院で受診する際や、薬局を利用する時に伝えて欲しいことをまとめてみました。

薬には使用できないものがある

薬で副作用を起こした経験がある場合には、同じ薬剤を使用することで再び副作用を起こす可能性があります。抗生物質でアナフィラキシーショックを起こした場合には、同じ抗生物質の使用を避けるとともに、別の薬でも同じ系統の薬剤で引き起こされることがあるので、十分注意して使用するかを決めていきます。肝障害を起こした場合にも、アレルギー性の肝障害では同じ薬剤を使用することで、再び肝障害を起こす可能性もあります。

病気に対して注意することが必要な薬剤もあります。前立腺肥大や一部の緑内障、気管支喘息では、病状を悪化させる可能性のある薬剤があるので、別の医療機関を受診する場合には注意が必要です。各々の病気を治療しながら、他の病状を悪化させないようにするため、複数の医療機関を受診する際には、既往歴、現病歴について必ず医師に報告することが大事です。

薬には使用する量を調節することがある

大服用した薬剤は、主に肝臓で薬物が代謝されて糞便中へ排泄されたり、腎臓から尿中に排泄されて体の中から消失します。治療に適した薬剤の血液中の濃度が保たれていれば副作用が出にくい場合でも、血中濃度が過剰になった場合には副作用の出現が起きやすくなる可能性があります。

肝障害や腎障害を起こして生理機能の低下を指摘された場合には、薬剤の血液中の濃度が過剰にならないようにするために、薬剤の種類によっては服用する量の見直しが必要になります。医療機関で生理機能の低下などを指摘された場合には、他の医療機関などを受診した際には報告するようにすることが大切です。

以前からの使用していた薬でも服用後の変化がある場合には報告を

今まで服用していた薬でも、使用量の見直しが必要になることもあります。最近、使用に対して注意喚起がされている、高齢者への睡眠薬や安定剤などのふらつきや意識障害なども、以前から使用していた服用量では加齢に伴う生理機能の低下などで、薬が効きすぎてしまう可能性があります。血液検査などのデータでは判別できない服用後の症状は、ご本人や付き添われた方から医師に伝えて、適切な治療が行われるようにすることが大事です。

薬に関して積極的に薬剤師に確認を

新たに病気にかかって治療を受けた場合には、改めて薬の相互作用を確認するとともに、今まで他で治療をしている病気への影響がないか確認することが必要になります。薬剤から病状を推測することもできるので、使用している薬が随時確認できるように、病院で受診する際や薬局に行く場合には、お薬手帳は必ず携帯するようにしましょう。

また最近、総合病院などの処方せんには血液検査による生理機能を記載したものがあります。生理機能を把握できれば、薬剤の適正な使用量を確認することもできます。安全に適切な薬物療法を行うために、お薬手帳に生理機能を記録して、かかりつけの薬局などで相談することができます。

薬の使用に関して何か不明な点がありましたら、薬剤師に相談するようにしましょう。