【質 問】私は63歳の男性ですが、去年から冬場になると皮膚が乾燥し、異常なかゆみを感じるようになりました。皮膚には特別湿疹も赤みもありません。今年は10月の終わりから再び皮膚がかゆくてたまりません。何かよい漢方薬はありませんか。
【答 え】

例年に比べると冷え込みが早いと報じられている。いつもだと年が明けてからくる相談だが、今年は2カ月早くしかも相談にくる人の数が多い。相談客は60歳を越えている方が圧倒的である。若い方は皮膚が乾燥するもののかゆみは少ない。

この方の相談は明らかに老人性皮膚掻痒(そうよう)症であり、外的要因は冷えと空気の乾燥と静電気の発生である。外的要因だけならば若い方と同じようにローションを塗布すれば、それで楽になる。だが、老人性の場合は内的要因があり、かゆみで夜も眠れないほどになる。

皮膚表面は本来酸性の皮脂膜で覆われていなければならない。これが不足することを漢方では「津液(しんえき)の不足」といい、皮膚が枯れてきた状態である。内服することにより、自分の力で皮膚に潤いを持たせる「開豊瓊玉膏(かいほうけいぎょくこう)」がよいでしょう。開豊瓊玉膏とは皮膚だけでなく、身体全体の津液を補う漢方薬で脳の枯れ、骨の枯れ、内臓の枯れを予防するため、健康維持・病気予防に最適です。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。