【質 問】私は63歳の男性ですが、去年から冬場になると皮膚が乾燥し、異常なかゆみを感じるようになりました。皮膚には特別湿疹も赤みもありません。今年は10月の終わりから再び皮膚がかゆくてたまりません。何かよい漢方薬はありませんか。
【答 え】

日本には独特の四季というものがある。この四季にわれわれの身体は対応して生命が営まれている。

最近お風呂に入らず、シャワーだけの方が多いのに驚く。お風呂とは日本の独特の風土に合わせて誕生した文化で、私は1つの健康法と考えている。身体を洗い30分くらいゆっくり風呂に入って温まると、清潔な汗がほんのりと身体を覆ってくれる。

45歳を過ぎるとだんだんと新陳代謝が後退し始める。若いときと同じように、あかすりで石鹸をふんだんに使うと、天然ローションを落とし過ぎてしまい、皮膚がかさつきかゆみを覚える。前回述べた「開豊瓊玉膏(かいほうけいぎょくこう)」とともに、身体を温める力を増し、腎臓からの新陳代謝を亢進する「金匱腎気丸(きんきじんきがん)」を服用します。

また皮膚に栄養を送る血液を増す「四物湯(しもつとう)」をあわせて服用するとよいでしょう。これらの漢方薬は皮膚掻痒(そうよう)症だけでなく、健康増進や病気予防のほか、健やかな老いも実現してくれると考えます。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。