OTCトピックス:アレジオン10が、第一類医薬品として発売されました

2012.5.1

〜薬剤師 青木 敏朗〜

平成23年10月に医療用医薬品のアレルギー性鼻炎薬「アレジオン」が、エスエス製薬より処方箋なしで購入できる市販薬(商品名:アレジオン10)として発売されました。

今回は、市販されている第二世代の抗ヒスタミン薬とアレジオンの位置づけ、および抗ヒスタミン薬の副作用で最近注目されている、「インペアード・パフォーマンス」について説明をいたします。

抗ヒスタミン薬とは

ヒスタミンは体内ではアレルギーや炎症の介在物質として、また脳内では覚醒機能や記憶機能など多数の生理機能に係わっており、抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンの刺激をおさえたり、放出をおさえます。

アレルギー性鼻炎の場合は、ヒスタミンの刺激・放出による鼻みずやくしゃみといった症状を改善します。

第一世代の抗ヒスタミン薬

第一世代の抗ヒスタミン薬としては、クロルフェニラミンマレイン酸塩を含有した商品がアレルギー性鼻炎の治療薬として使用されていました。ヒスタミンという化学物質の刺激をおさえる作用があります。

第一世代の抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から出たヒスタミンの刺激を一時的に抑え、くしゃみ、鼻水に効果があります。即効性があり、薬を服用して数10分で効果が出てきます。

ただ作用時間が短いということと、眠気、口の渇きといった副作用もあり、車の運転や高所で仕事をされる方は避けるよう注意が必要になります。

欧米では抗ヒスタミン薬の中には睡眠薬に分類されている薬もあり、日本でも第一世代の抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン塩酸塩(製品名:ドリエル)は睡眠改善薬として一般用医薬品として発売されています。

第二世代の抗ヒスタミン薬

第二世代の抗ヒスタミン薬は、第一世代に比べて眠気や口の渇きといった副作用が少なく、医療用医薬品としても広く使われています。

第一世代と比べると効き目が穏やかですが、効果は比較的持続します。

主な作用は肥満細胞から出たヒスタミンの刺激をおさえると共に、肥満細胞からヒスタミンが出るのをおさえます、また薬剤によっては、その他のアレルギー性症状にも効果を示すものもあります。

主にアレルギー性症状の、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみや涙目に効果があり、ある程度鼻詰まりにも効果がある薬剤もあります。

花粉症の時期には飛散前(1~数週間)から服用すると、アレルギー性症状が軽減できるとされています。

アレジオン10の用法について

今回発売された、「アレジオン10」の適応は、アレルギー性鼻炎です。

医療用医薬品のアレジオンは20mgもありますが、アレルギー性鼻炎の場合には1日1回10mgと20mgで投与した場合有効性・安全性に影響はなかったとされています。

用法は「アレジオン10を1日1回1錠」になりました。

また食後服用にした場合30~40%吸収が悪くなるという報告があり、「就寝前に服用」ということになっています。なお適応年齢は15歳以上になります。

製品名
(発売メーカー)
成分対象年齢服用回数主な医療用医薬品名
アレジオン10
(エスエス製薬)
エピナスチン塩酸塩
15歳以上1回
(寝る前)
アレジオン
パブロン鼻炎カプセルZ
(大正製薬)




ケトチフェンフマル酸塩




15歳以上




2回
(朝食後、寝る前)




ザジテン
ザジテンAL鼻炎カプセル
(ノバルティスファーマ)
コンタック600ファースト
(グラクソ・スミスクライン)
スカイナーAL錠
(エーザイ)
ストナリニ・ガード
(佐藤製薬)
アゼラスチン塩酸塩
15歳以上2回アゼプチン

効果のある薬は眠気も強い?

抗ヒスタミン薬の、「効果のある薬は眠気も強い」と言う考え方は少し違います。

アレルギー性鼻炎薬として考えた場合は、鼻粘膜で薬剤が作用して、脳内に移行しなければ良いわけです。

脳内には血液中の物質が移行しないように働く脳血液関門いわゆる中枢の関門があります。

血液脳関門を通過しにくく中枢神経系に対する作用が弱いとされている薬剤が、第二世代の抗ヒスタミン薬といわれており、その中でも、薬剤により脳への影響が違うことが解かってきました。

インペアード・パフォーマンスとは

抗ヒスタミン薬の副作用で、「インペアード・パフォーマンス(認知機能障害)」と言う言葉が最近使われるようになりました。難しい言葉なので「鈍脳」、「気づきにくい能力ダウン」と言われることもあるようです。

抗ヒスタミン薬が、脳内に移行した場合には覚醒機能や記憶機能に影響が出ます。

問題は「眠気」は自覚しやすいですが、知らないうちに集中力・判断力・作業効率が低下して、認知機能、自動車の運転や学習能力に影響が出てしまうということです。

「インペアード・パフォーマンス」の可能性のある薬剤は、眠気以外でも集中力・判断力の低下が起きるので「乗物又は機械類の運転操作をしないこと」とされています。

抗ヒスタミン薬の鎮静性

「インペアード・パフォーマンス」は脳内へ抗ヒスタミン薬が薬剤が移行して起こります。

最近になり、薬剤の脳への移行率も測定できるようになりました、東北大学大学院医学系研究科・機能薬理学分野・教授である谷内一彦先生は、脳内への移行率の差により、鎮静作用の強さを分類されています。

鎮静作用成分名
非鎮静性(日常生活にほとんど影響ないもの)エピナスチン塩酸塩(アレジオン10)

軽度鎮静性(ある程度日常生活に影響がある)
アゼラスチン塩酸塩
メキタジン

鎮静性(日常生活に影響がある)
ケトチフェンフマル酸塩
クロルフェニラミンマレイン酸塩

*谷内一彦先生の抗ヒスタミン薬の鎮静作用より(一部改変)

ただし血液脳関門(各薬剤間の違いや脳細胞への移行性)には個人差があり、脳内へ薬剤の移行が少なくても眠気や「インペアード・パフォーマンス」の影響が出る場合もあります。

また逆の場合(脳内へ薬剤の移行が認められていても眠気を感じない)もあります。

まとめ

ここ数年で一般用医薬品として、「アレジオン10」をはじめとして、第二世代の抗ヒスタミン薬が発売され選択肢が増えました、「アレジオン10」はその中では、「インペアード・パフォーマンス」の影響が少ない薬剤になります。

「眠たくなってもいいから、とにかく即効性のあるもの」と言う場合は第一世代の抗ヒスタミン薬、「車の運転をするので影響の少ないもの」や「受験勉強中なので学習に影響の少ないもの」といった場合は、非鎮静性の「アレジオン10」といったように、ニーズに合わせて選択できるようになりました。

アレルギー性鼻炎で苦しまれている方は、是非、薬局薬剤師にご相談して下さい。