病気のトピックス~花粉症(ブタクサ)

〜薬剤師 青木 麻美〜

「花粉症」といえば春のスギ花粉症を思い浮かべる方が多いでしょう。たしかにスギは日本特有の木で、スギ花粉症は花粉症全体の7割を占めるといわれています。しかし日本において花粉症として最初に報告されたのは、実はブタクサなのです。

1961年にブタクサの花粉症が報告され、これを機に花粉症の研究が進み、1963年にスギ、1964年にカモガヤといった花粉症が報告され、現在では約50種類もの花粉症が報告されています。

ちょうどいま、この夏の時期に鼻水や目のかゆみといった花粉症の症状で悩んでいるとすればブタクサやヨモギが原因の秋の花粉症かもしれません。

【花粉症の発生機序】

人間の身体には異物を排出しようとする働きがあります。鼻や目に入ってきた花粉を異物と認識すると外へ押し出そうとするシステムが作動します。この異物を抗原と呼びますが、鼻や目の粘膜についた抗原に対し、体は抗原と結合する抗体をつくります。花粉の場 合はIgE抗体という物質がつくられ、粘膜にある「肥満細胞」というアレルギー反応を 起こす細胞の表面で抗原が入ってくるのを待ち受けています。ここに風に乗った花粉がやってきて鼻や目に入り込むと、「はい、捕まえた」って具合に(抗原抗体反応)、アレル ギーの細胞「肥満細胞」からアレルギーを起こす化学物質(ケミカルメディエータと呼び ます)が放出され、粘膜の神経を刺激し、身体に侵入した花粉を一緒に押し出すために鼻 水やら涙やらがとめどなく流れ出るというわけです。

【花粉症の予防法】

秋の花粉症と春の花粉症の大きな違いは原因植物が草か木か、というところにあります。ブタクサやヨモギは風媒花(風で花粉を飛ばす植物)であるものの草なので、スギやヒノキ に比べれば花粉の飛散力が弱いです。ブタクサやヨモギが群生している空き地には近づかない、というのが何よりの予防策になります。
「とにかく花粉を浴びない」ことがアレルギー反応を作動させない第一条件ですから、メガ ネやマスクの着用、家の中に花粉を持ち込まないために玄関で服をはたいてから家に入るなど徹底することをおすすめします。

【花粉症の治療法】

とはいっても季節が来れば、鼻や目がむずがゆくなってくるのが花粉症。薬が手放せない方もいらっしゃると思います。今年2016年は鼻アレルギーの治療ガイドラインが改訂されました。今回の改訂のポイントを一口に言ってしまうと、治療薬剤の選択肢が増えたということです。ガイドラインでは花粉症を「鼻閉型」(鼻づまり型)と「くしゃみ・鼻漏型」(鼻水型)の2タイプに分け、さらにそれぞれを症状の重さにより「初期療法」「軽症」「中等症」「重症・最重症」の4段階に分けて、各ステージに適した薬剤を推奨しています。
   内服薬においてはアレルギー反応を抑える成分と鼻づまりを解消させる成分が配合された薬剤や種々のケミカルメディエータの受容体拮抗薬が選択肢に加えられたり、抗原を少しずつ摂取して身体に花粉を異物と認識させないようにする減感作療法(舌下免疫療法)を紹 介したりと前回改訂の3年前からは選択薬剤の幅が広がりました。
   ティッシュ箱を抱えて苦しむ前に症状に合わせて耳鼻科、耳鼻咽喉科、眼科、アレルギー科などで相談すると自分の症状と生活習慣に適した薬剤が見つかる可能性が高いです。 一見、花粉症とは思わない花粉症皮膚炎といった症状もありますので、秋口、風邪にしては何だか違う気がする、この時期なぜか肌がかゆい等、思い当たる節がありましたら、医療機関に足を運んでみてください。