【質 問】わたしは72歳の女性です。10年ほど前から膀胱(ぼうこう)炎にかかるようになり、特に季節の変わり目になると激しく、疲れたとき、冷えたときに必ず症状が出てきます。症状はトイレが近く、膀胱のあたりが重だるくなり、太ももの内側がじんじん痛くなることもあります。夜間尿も3〜4回になり、今では抗生物質が手放せなくなりました。よい漢方薬はないでしょうか。
【答 え】

便の色は透明で血尿は出ず、医師には無菌性膀胱炎と診断されている。顔色は蒼白で、汗をかき疲れやすい。食は細く、手は温かいが足は常に冷たく、腰から下が冷えやすい。風邪をひくと長引き、頭痛鼻水のどの痛みが続く。独り暮らしなので不安を隠し切れない。

汗をかきやすく疲れやすいという症状から気と陰分の不足がうかがわれ、夜間の小便が多いことから腎臓を温める力が不足している。この女性には、気と陰分を補う「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」と、腎を温める「金匱腎気丸(きんきじんきがん)」を服用してもらい、3カ月くらいで膀胱の症状は出なくなった。しかし、まだ風邪をひきやすいので肺と全身を温める「四逆湯(しぎゃくとう)」を加えると、以前よりひかなくなった。現在では膀胱炎の薬をやめ、独り暮らし不安を取る「帰脾湯(きひとう)」を服用、さらに元気になられた。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。