薬と上手に付き合うための基礎知識(15)

〜薬剤師~金子 昌弘〜

消毒薬編

例年寒くなるとウイルス感染の話題が多くなります。実際ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性胃腸炎は、11月から2月までが流行のピークになります。重ねて寒くなり空気が乾燥してくるとインフルエンザをはじめとする呼吸器感染症にも注意しなくてはなりません。ともにウイルス等により感染を予防するために消毒により感染経路を絶つことが重要です。今回は環境の消毒薬について紹介します。

消毒薬の種類

消毒薬はその作用の強さにより高水準、中水準、低水準に分けられます。高水準は一定の条件下であらゆる微生物を抑えますが、医療機関での器具等の消毒が対象です。中水準に分類されるものは、芽胞という特別な構造を持った微生物以外に効果があり、種類により人体、器具、環境の消毒に使用されます。低水準のものは人体に対する影響が少ないため、皮膚消毒に広く使用されます。器具、環境に対しても使用することができますが、芽胞を持った細菌やウイルス、結核菌などには効果が期待できないため、また耐性菌の問題もあるため注意する必要があります。

家庭などで使用するものでは、中水準ならば次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、イソプロパノール、低水準ならば第四級アンモニウム塩(ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物)、クロルヘキシジングルコン酸塩、両性界面活性剤などがあります。

※細菌が生活環境の悪い時に自身の身を守るために形状を変え、熱や消毒薬に対しても抵抗性がある細胞構造になったもの。芽胞を形成する細菌に、セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、破傷風菌、炭疽菌、納豆菌などがあります。

消毒薬の分類

分類消毒薬適用物
低水準消毒薬カルブロック
アムロジン・ノルバスク
アテレック
ペルジピン
バイミカード
アダラート・セパミット
ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸塩、両性界面活性剤
家具、器具、物品など
中水準消毒薬消毒用エタノール、イソプロパノール、エタノール・クロルヘキシジングルコン酸塩金属および非金属の家具、器具、物品など
次亜塩素酸ナトリウム非金属の家具、器具、物品、および排泄物
高水準消毒薬グルタラール、フタラール医療機器、内視鏡など(家庭では使用しません)

生活環境の消毒と消毒方法

ドアノブや椅子、テーブル、場合により便座や床などの消毒には、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、イソプロパノール、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸塩、両性界面活性剤などを使用します。ただし次亜塩素酸ナトリウムは、漂白作用と金属に対する腐食作用があるため色柄ものや金属に対して使用は避けます。消毒薬は有機物(おう吐物など)が多いほど効果が弱まります。消毒前にペーパータオルやティッシュペーパーなどで取り除いてから消毒を行います。

  1. 原液または高濃度の場合には、決められた濃度に希釈します。
  2. 汚れがある場合は、取り除きます。
  3. 消毒液をティッシュペーパーやペーパータオルに浸み込ませ、一方通行で拭き取ります。その際、一度拭いた場所は微生物の再付着を予防するため、同じペーパーで二度拭きしないようにすることが大切です。

消毒薬を使用するときの注意点

消毒薬は使用する場所により選択することが大切です。アルコールが高濃度含まれるものを広範囲に使用した場合は、引火性があるため注意が必要です。

消毒薬の効果を左右するものに、「濃度」「時間」「温度」があります。普段家庭で注意する上では「濃度」と「時間」を確認してください。微生物を抑えるための必要な濃度があります。適正であれば効果が得られ、薄いと期待する効果が得られません。濃すぎると刺激作用があり、経済的にも無駄になってしまいます。

「時間」は、消毒薬の種類により効果が得られるまでには一定の時間が必要です。説明書で浸け置き何分と記載していますので守るようにしてください。

消毒薬を使用したことと消毒したことは同じことではありません。正しく使用しないと消毒できないと思ってください。

薬の使用方法がわからないときは薬剤師に確認を

消毒薬は使用方法を理解して適切に使用することが大切です。有効に安全に使用していただくために、消毒薬の使用方法で何か不明な点がありましたら、まず薬剤師に確認して適切に使用するようにしましょう。