61歳の男性は5年ほど前から、「ジージー」という低い音の耳鳴りがするようになりました。それと同時に、聴力の異常が起き始め、病院にかかりましたが、耳鳴りを治すことはできないと言われ、がっかりして来店されました。耳鳴りは、ほぼ一日中あり、特に周りが静かになる夜間や寝る前に激しくなります。疲れたり、寝不足だったりすると、昼間も悪化し、聞こえも悪くなり耳鳴りがストレスになることもあると言います。

漢方の古典には、『耳は腎の竅(あな)、腎虚する時は耳漏(じろう)して鳴る』という記載があります。耳漏とは、聴力に様々な段階の障害が出ることで、耳鳴りや難聴を指し、また耳鳴りに伴うめまいなども含まれます。

この男性は腎の疲れと老化が原因だと考え、「滋腎通耳湯(じじんつうじう)」を処方しました。すると、3カ月経過後耳鳴りはしているが、気にならなくなったと喜んで現在も継続中です。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。