7月に入り、暑さも厳しさを増してくる時期となりました。
この時期になると夏バテしてしまい食欲も減退してしまうという方も多いかと思います。

東洋医学では「汗をかくと体の水分だけでなく、元気も失われる」と言われています。適度な発汗なら問題ありませんが、過度な発汗をそのままにしておくと体力が奪われ夏バテの原因となります。「夏場、やたらと汗をかき喉が渇いてしまう」、「夏バテのせいか疲れやすい・食欲がなくなる」そういった方には生脈散がおすすめです。

生脈散という処方名は,体内エネルギーや体に必要な水分の消耗を防ぎ,弱くなった脈を回復するという働きを表しています。この処方は,大量の発汗後の肉体疲労時や消耗性疾患による全身の機能低下を改善します。漢方薬というと長く飲んで効くというイメージが強いですが、この薬は即効性も期待できる漢方薬です。

夏休みで旅行に出かける方も多くなるこの時期。夏バテだけでなく、「移動の疲れからせっかくの旅行なのに食欲がなくなってしまう」、という方の常備薬としても重宝されています。また、大量発汗後の疲労回復を目的として、生脈散をスポーツ後に服用すると翌日に疲れが最小限に抑えることができます。

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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。