〜薬剤師 後藤 君代〜

薬局で処方箋をもってお薬を受け取る際に、「ジェネリック医薬品に替えますか?」と聞かれたことはありませんか?

最近よく耳にするジェネリック医薬品とは何でしょうか?

ジェネリック医薬品についてよく知ることで、安心してお薬を飲んだり、使ったり出来るようになりましょう。
 また医療費の負担額が抑えられるジェネリック医薬品。詳しく説明します。

Q1 ジェネリック医薬品ってどんな薬?
 病院や薬局でもらう薬には「先発医薬品」と先発医薬品と同じ成分・同じ効果で価格の安い「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の2種類があります。
 先発医薬品は約20~25年の特許期間があり、この間、ジェネリック医薬品はありません。特許期間が終了するとジェネリック医薬品が販売されます。

Q2 なぜジェネリック医薬品は安いの?
 先発医薬品の開発には成分の開発、有効性・安全性の確認、薬の承認と20年前後の期間を要し、200億~300億と多額の費用がかかります。そのため価格も高く設定されています。
 ジェネリック医薬品は、特許の切れた先発医薬品をもとに作るため、開発費は低く抑えられます。そのため価格が安いのです。安い価格で先発医薬品と同じ成分・同じ効果の薬が提供できる。これがジェネリック医薬品の最大のメリットです。

Q3 本当に先発医薬品と同じで安心なの?
 ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分です。その効果や安全性は先発医薬品によって確かめられています。それぞれのジェネリック医薬品は国による厳しい品質基準をクリアしています。生物学的同等性と言って、先発医薬品と比較して体内での血液中の濃度の変化がどうなるかを調べ、問題ないことが確認されています。製品の品質の安定性も確認されています。(先発医薬品もジェネリック医薬品もお薬に含まれている添加物などが体に合わずアレルギーなどを起こすことがあります。)

Q4 先発医薬品より改良されたものもあるの?
 製品によっては、飲みやすく改良されたり、使いやすく改良されたものがあります。
 例として、
 ●錠剤を小型化したもの
 ●口のなかで溶けやすくしたもの
 ●味やにおいを改良したもの
 ●容器の工夫で防腐剤の入っていないもの
 などがあげられます。
 1つの先発医薬品に対していくつものジェネリック医薬品があるものもあります。それぞれのジェネリック医薬品によって工夫されたものや先発医薬品と同じように作られたものとさまざまです。薬局で相談して下さい。

Q5 実際、どれくらい安くなるの?
 高血圧症や生活習慣病、骨粗鬆症など慢性疾患でお薬を飲まなくてはいけない人のなかには、お薬代が高いからと言って通院やお薬をやめてしまう方も少なくありません。お薬代の負担を軽くすることは、治療を無理なく続けられることにもつながります。
 例えば高脂血症のお薬プラバスタチンナトリウム10㎎ 1錠でみると
 先発医薬品124.4円 ジェネリック医薬品はA錠86.9円、B錠71.7円、C錠50円 と様々です。
 これを365日で計算すると、A錠 10950円、B錠 18250円、C錠 25550円安くなります。自己負担3割の方ではC錠で7670円、1割の方で2560円、負担が軽くなります。数種類のお薬を飲んでいる場合は他にジェネリック医薬品に替えられるお薬があれば、さらに負担が軽くなります。

Q6 どうしたらジェネリック医薬品にかえることができるの?
 病院内でお薬を受け取る場合は、お医者さんに相談して下さい。処方箋をもらって、薬局でお薬を受け取る場合は薬剤師にジェネリック医薬品でと伝えて下さい。処方箋の右下方に「後発医薬品への変更不可」と書かれた欄があります。この欄にお医者さんの署名・捺印があるとジェネリック医薬品に替えることはできません。この場合は処方箋を受け取った医療機関で、ジェネリック医薬品に替えたいことを伝え相談して下さい。
 先発医薬品1つに対し、ジェネリック医薬品は数十社から出されているものもあります。そのため先発医薬品はどの薬局でも同じですが、ジェネリック医薬品は薬局によって採用しているものが違ってきます。また、価格も同じではないため、支払い金額が違ってくることもあります。まずは薬局で相談して下さい。

 高齢化社会に伴い、医療費は高騰しています。健康保険の個々の負担額も上がっています。上手にジェネリック医薬品を使うことで、より少ない負担金で治療を続けることができ、さらには医療費の高騰を抑えることにつながります。
 ジェネリック医薬品、使ってみませんか?