薬と上手に付き合うための基礎知識(22)

〜薬剤師~金子 昌弘〜

残薬の問題と対処方法編

服用している薬の残りの数にバラつきがあり揃っていない。以前もらった薬だが、いずれ使用するかもしれないので保管していた。症状に合わせて使用する薬のため残りがあるが、受診ごとに薬をもらうためたくさんの薬が余ってしまう。様々な理由で使用していない薬や、使用していても数多く残っている薬のことを残薬と言います。

薬局の薬剤師が積極的に取り組み、残薬を減らしていくことは、治療上の問題点の改善に加えて、医療費の損失を防ぐための重要な問題です。何が問題になるのか?今回は家に残っている「残薬」について紹介したいと思います。

残薬原因の例

①病院受診時に30日分の薬をもらったが、途中で症状が改善したので医師の指示のもと服用を終了した。症状に応じて使用するように指示を受けていたので残りが生じた。検査などで服用しないように指示を受けていたので残ってしまった。

②忙しくてつい服用し損ねた。昼服用する薬があるが、外出していて服用できなかった。夜服用する薬があったが、気付いたら寝てしまって服用できなかった。

③複数の薬があり服用方法が薬ごとに違うので、飲み忘れや、飲み間違えてしまった。

残薬の問題点

残薬の原因①で、検査時に一時服用しなかった薬の場合には、そのまま繰り越して使用します。ただし風邪などの症状で使用していた薬が残った場合には、いずれ使用することがあるのではと思い、携帯しておくことが考えられます。薬には使用期限があります。使用期限を過ぎると有効成分の分解や劣化などで十分な効果が得られないことがあります。また症状が同じように思っても、別の病気だった場合には使用する薬剤も変わります。医師が症状と生理機能で服用量を決めますので、以前使った薬がそのまま使用できないことがあるので注意が必要です。

残薬の原因②③などで、正しく服用ができていない場合には治療効果に影響が出る可能性があります。薬を処方する場合、症状と生理機能などにより使用する薬の量を決めていきます。服用回数は薬の作用する時間でそれぞれ決めていきます。薬を飲み忘れてしまうことで十分に薬の効果が得られず、病状を悪化させることもあります。

残薬の中には古くて使用できないものや、病状が変わって使用することがない場合には破棄することが必要です。ただし現在服用している薬や、症状に合わせて使用するため携帯の指示が出ている薬は、治療の上で大切な薬です。使用している薬がたくさん残っているが、残りの数を確認するのが困難な場合や、残った薬を医師に相談すると怒られるのではないかと思い、残薬はそのまま処分したと聞いたことがあります。薬局で残薬を相談して、処方日数などの調整をすることで年間数百億円から3000億円以上の医療費削減が期待されるとした報告もあります。(厚生労働省HP:文献調査と薬局・薬剤師を活用した健康情報、拠点推進事業報告書からの考察より)数が合わないからむやみに廃棄してしまうことは、医療費の無駄につながります。

残薬がある場合には、受診時などに医師または薬剤師に報告を

現在使用している薬が余ってしまった場合、残りの数を把握しておくことで新たに処方される薬の日数を調整することができます。残りの状況を医師に相談することで、薬の処方日数を減らすことができます。医師に相談できなかった場合には、薬局の薬剤師に相談することで医師の許可を得て日数を減らして、家の残りの薬を有効に使用するようにします。

服用方法が問題となり残薬が生じる場合には、服用方法の正しい理解や服用を忘れてしまった場合の対処方法を正しく理解することが大事です。

服用する薬の数が複数で、服用方法が薬ごとに異なり煩雑な場合には、服用の補助用具を使うことで確認がしやすくなります。例えばお薬カレンダーは1週間分単位で朝・昼・夕・寝る前などに仕分けをして、薬をあらかじめ服用時間ごとにセットするので、確認して服用をしやすくします。場合によっては服用時間ごとに薬をまとめて包装する「一包化調剤」をすることもできます。正しく服用することが困難な場合には、医師または薬剤師に相談するようにしてください。

薬の注意点など、不明な際は薬剤師に確認を

正しく服用することができなくて残薬があるということは、治療効果に影響を与えてしまう可能性があります。病状や薬の使用期限などの問題で以前もらった薬が使用できないこともあります。薬が残ってしまう原因を確認して、残薬が生じないようにしていくことと、現在ある残薬に対して適切に対処していくことが大事です。国の医療費の損失を軽減するために、残薬への取り組みは医療財政面でも重要な問題です。また破棄を避けて処方日数を調整することで、各個人のお薬代の支払金額を抑えることになるので、家計の節約にもつながります。

正しい服用により治療を行うために、また医療費の損失を防ぐために残薬がある場合には、薬剤師に相談するようにしましょう。