猛暑の胃腸の疲れがまだ回復しないところに、冷えがきつくなり、10月~11月にかけて急性の膀胱炎の相談が多くありました。ご存じのとおり、膀胱炎は大腸菌やブドウ球菌が原因で引き起こされます。急性期は、小便が近くなり、排尿痛や残尿感の症状がでてきます。また、尿が混濁し、時に出血します。このようなときには「猪苓湯・ちょれいとう」や「五淋散・ごりんさん」を服用します。これで治るときは少なく、タイミングを逃すと細菌は腎まで及んだりします。また、無菌性膀胱炎だと言われた時には、「金匱腎気丸きんきじんきがん」に「蒼朮・そうじゅつ」を加え、「茯苓・ぶくりょう、沢瀉・たくしゃ」を増量します。また、疲れたり出歩いたりすると繰り返す人には、「人参・にんじん、黄耆・おうぎ、白朮・びゃくじゅつ」のような気を補うお薬を加え、更に「柴胡・さいこ、升麻しょうま」にて体にある気を引き上げます。また、冷えると起こる人には、金匱腎気丸には「当帰・とうき、芍薬・しゃくやく・川芎・せんきゅう」を加えます。

腎盂炎を起こしてしまい、発熱しぐったりするようであれば、「玄武医王湯・げんぶいおうとう」を服用します。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。