今年はインフルエンザの当たり年になってしまいました。A香港型が大流行したかと思うと、同じ人がB型に罹ってしまう事例もあります。その中で高熱を伴う風邪やマイコプラズマ肺炎や蓄膿症も流行っています。

風邪をひいて二週間経ちましたが、鼻水がいつまでも出て、鼻声が続くなんて人が少なくありません。鼻水は鼻の粘膜の炎症の度合いを表しています。漢方では、黄色みが強い鼻水は、粘膜の炎症が強く粘膜に熱をもっています。粘膜の熱が冷めてくると黄色みはだんだん消えてクリーム色から白濁になり、透明になっていきます。こんな時には「小柴胡湯・しょうさいことう」を服用していただきます。

奥からは黄色い、または白あるいは透明の粘張な鼻水が出てくるが、さらさとした透明な鼻水が出てしまう時には「柴胡桂枝湯・さいこけいしとう」が良いでしょう。また後鼻漏といって、鼻水が口の方に落ちてしまう時も同様です。

同じように気管支や肺の炎症の度合いは痰で判断していきます。痰の色が濃い黄色は粘膜の熱が強く、クリーム色になるとだんだんに熱が冷めていった状態です。咳をするときに気管支の痛みを覚えるときには、「柴陥湯・さいかんとう」が良いでしょう。声がかれていたり、咳をするときに頭にうっすら汗ばむときには、「柴胡桂枝乾姜湯・さいこけいしかんきょうとう」を服用すると良いでしょう。痰がなく咳き込むときには「麦門冬湯・ばくもんどうとう」が良いでしょう。

風邪の後遺症の処方には微妙な感覚が必要ですので、専門家に相談し、症状に合った薬を服用しましょう。またこれからスギ花粉が吹いてきます。粘膜を普通の状態にしておかなければ、花粉症になってしまう可能性もあります。


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※これらの『おくすり相談事例』は薬剤師・鍼灸師の福島勇二先生が湘南朝日に連載したコラム『漢方の相談室』より転載したダイジェスト版です。